

ちょろい!準2級・一次試験のリーディング問題
試験開始の合図とともに、一斉に問題用紙の青いテープの封を開け始める。
僕は緊張しているので一瞬うまいこと開けられなかったが問題用紙に隙間を作って、そこにボールペンを差し込んで、縦にスライドさせてビリビリと破き開けることができた。
正直、小型のカッターや定規を使いたいところだ。
問題用紙を開き、いきなり解き始めるのではなく、問題全体の構成をまず確認した。
当たり前だが対策本の構成とほとんど違いはない。
ただ再生紙を使用しているためか、書店で売っている問題集とは違い、背景がややくすんでいる色なので問題が読みにくい。普段も同じような用紙が使われているテストをしている学生なら気にしないだろうが僕は仕事上、ハイコントラストの白の背景色と黒文字でしっかり見やすいディスプレイで作業しているので、これは結構きつかもしれないと感じた。
問題は順番通り、短文の語句空所問題から始めた。
読みやすさは慣れるしかないとあきらめて解き始めると、なんとガンガン解ける!
分からない問題でも消去で2択まで落とし込めるものがほとんどだった。
短文問題は1問につき約30秒。
1問解くごとに時計の秒針を確認して、分からないものは一応解答用紙に記入しつつ、あとで確認するためのチェックをつけるようにしていたが、チェックした数も4問程度だった。
次に長文の語句空所問題。
なんとこちらは短文問題よりもさらに簡単に解けた。
長文は短文に比べて情報量が多いのでヒントも多い。加えて解答も単語ではないので意味が繋がる文を探して当てはめればよい。もしくは逆に意味が繋がらない選択肢を消去して残った一つを解答とする。
長文の内容一致選択の問題は少しだけ手こずった。
解答の英文が微妙に似ているからだ。惑わされないようにと思いつつも、まだ自分にあまり定着していない現在完了形が出てくると焦ってしまう。この時、おそらくまともに翻訳できていなかったと思うが、ほかの選択肢には”can”などの簡単な助動詞などがあり、分かるものから分かる範囲で確実に翻訳していきながら解答していった。
ここまでは問題自体に問題はなかったが、自分自身に問題があった。
それは緊張のあまり、目がキョどりまくっていたことだ。
昔から緊張したり疲れたりすると机や壁の角を見ながら瞬きをするという癖があった。
まるでナルトに出てくる”うちはイタチ”が視たものを黒炎で燃やす天照(アマテラス)をするかのように(中2病)
実際のところ癖というよりは、強迫性神経症とかの精神系のなにかだろうと思う。
正直、行動自体は意味不明だと分かっているが、手を洗い続けることをやめられない人と同じように、その衝動を抑えられない。もはや確実だ。
最近はその衝動があまり出なかったが、久しぶりに来た。
しかも過去一というくらいめちゃめちゃいろんな角を瞬きしまくっていた。
ほかの試験などでここまでの状態にはなったことがないので、この試験は自分にとって相当、真剣なものだったろうと思う。いや本当に真剣だった。
ただでさえ大人の受験者は目立つのに、そんな挙動不審な人間はさらに目立っていただろう。
試験官が僕の後ろに張り付いたーー。
めっちゃ張り付いて見ている。顔は見えないが腰くらいまでは見える。
間違いなく怪しんだ女性の試験官が僕を背後から見下ろしている。
視界に入る席で同じように張りつかれた子は、自分が気づいた限りは他にはいなかった。おそらく僕だけだ。
当然だろう。振り返ってもその時の角への瞬きは異常だった。
カンニングしていないか、あるいは他の子に解答を見せていないか。僕が試験官であっても同じように疑って確認するだろう。
短文・長文問題は着実に解答していったが、間に入るこの癖と試験官の監視する圧が集中力を奪い、貴重な時間をかなりロスしてしまった。
だが最後の英作文にたどり着いた時、目標解答時間のギリギリ20分を残せていた。
ライティングは必ず何かの文章を書かなければならないので、選択問題とは比ではないくらいに難しい。
クエッションは簡単なので、何を問われているのかは分かる。だが英作文には2つクリアしなければならない課題がある。
それはまず、質問に対する日本語の回答が思い浮かばなければならないということ。
社会的なことなど、普段から何かに対して自分の意見を持つようにしていなければ、意外とパっと思い浮かばないので、ニュースでもライティングの問題集でも英作文を書く前に日本語で意見を考えることをしておいたほうがよい。
そしてもう一つの課題は、質問に対する解答は自分が作れる英作文の範囲の簡単な日本語を組み立てなければならないということだ。
これが難しい。どれだけ質問に対するすばらしい日本語の解答が思いついたとしても、それを英語にするだけの能力が自分になければ意味がない。解答用紙が白紙になるからだ。
メモする欄が問題用紙にはあるので、そこに日本語を書いて英文を作成するという作業を行った。全ての英文を下書きする余裕はないので、この文章の流れで行けると思った時点で解答用紙に記入し始めた。
でもまたここでもちょっとした問題があった。使っているシャープペンシルだ。
解答用紙のマークの穴埋めをすばやく終わらせるため、2mm極太の芯を使用していたのだ。
予備で用意していた鉛筆も太さを生かすためにほとんど削っていないので、シャーペンと使い勝手はほとんど変わらない。
選択問題のマークはすぐ穴埋めできて便利だったが、文章となると尋常じゃないくらい書きにくい。そしてただでさえ汚い文字しか書けないのに、文字が太いことで書いた文章がさらに読みにくい。
本質的な事と違うところに意識を持ってかれるのは、かなり無駄でストレスなので、ライティング用に普通のシャープペンシルも持っておくべきだったと後悔した。
でも今あるものでやるしかない。
書きづらいと思いつつも、なんだかんだで英作文は完成したが、正直しょぼい。
おそらく中学2年生レベルの文法までしか使っていない。
高校中程度である準2級でライティングは、どこまで求められるのかと不安になる文章だ。
読むことのできる英文でも、それを書くとなるとやはりさらなる英語能力が必要だとあらためて痛感する。
時間は10分ほど余ったので問題や解答を見直し、リーディング、そしてライティング問題を終えたーー。