

【南インド】インドの洗礼 – 前編
「予約はキャンセルされました、代わりにリッチなホテルを紹介します」
直後に僕は意識を失ったーー。
ここはラジーヴ・ガンディー国際空港。
そう、南インド映画の聖地であり、インド第2のIT都市ハイデラバードに僕は降り立ったのだ。
着いたのが深夜だったこともあり空港内の客は多くはないが、免税店にたくさんのスタッフが残っており、飛行機から降りてきた客をニコニコと笑顔で待ち受けている。
外に出ると想像していたほどスモークや煙臭さはなかった。さすがハイデラバード(?)
いくつか両替所があったが、クレジットカードを使ってキャッシングするつもりだったのでスルー。そしてATMを発見。
日本でもキャッシングはしたことがなかったが、予習はバッチリ。
海外のキャッシング方法は問題ないはずだった。だが、いざ操作しようとすると見たことのない画面が表示された。
どうすれば・・・、まったく分からない。
ATM自体もかなり古そうで、そもそもキャッシング可能なATMなのかも分からない。
まあ、ATMは街中にもたくさんあるので大丈夫だろうと早々に諦めた。
クリスマスのオブジェの前で記念撮影した後、ホテルに向かうためタクシー乗り場に向かうことにした。出口の前にはたくさんの人が待っていたがこの人たちはたぶん飛行機から降りてくる客の知り合いや家族だろう。
タクシーはUberと決めていたのでUber専用の乗り場を探すことにした。
なぜあえてUberなのかはみなさんもご存知の方も多い思うが、声をかけてきたタクシーなどに安易に乗ってしまうと悪徳旅行代理店に連れてかれてしまうからだ。
「暴動が起きていて、君が予約したホテルの周辺はすべて閉まっている。こちらで色々手配しよう」
だとか
「俺たちが最高の旅行ツアーを組んでやる、30万円で。買うだろ?」(大型ナイフを持ちながら)
Uberも個人タクシーなので悪徳旅行代理店に連れて行かれる可能性は0ではないが、大手が仲介しているので完全個人よりは少し安心。
そしてバリバリ観光地の首都デリーではなく、ここはマイナーな南インド。
詐欺率は低いだろうとタカを括っていた。
インフォメーションで「Where is Uber?(Uberどこ?)」と乗り場を聞き、「Downstairs(下の階)」と教えてもらったのでエスカレーターで下の階へ。
降りるとトイレがあったので妻と順番にトイレに。
入ると日本の昔ながらのこじんまりとした小便器。しかも流れない。
トイレの匂いは強烈な香料で誤魔化している。
アンモニアの匂いはほとんどしないが、香料がきつくて臭すぎる!鼻がもげそうだ。
トイレにはそのトイレ専門のスタッフが常時いるようで、トイレから出て交代でトイレに入った妻を待っていると、入り口前で壁にもたれかかった男性の清掃員がこちらを見ている。
まあ日本人はきっとめずらしいから見ているんだろう思ったが、すごいガン見だ。
困った末に笑顔を出すと相手も笑顔になってくれた。
笑顔ガン見だ。
このころになると喉も乾いたし、お腹も空いてきたがあとはホテルに行くだけなので、着いてからでいいかと思ったのが、のちの間違いだった。
少し歩くと開けた場所に出た。
Youtubeなどで見た通り、たくさんのインド人がしきりに「Taxi!?」と声をかけてくる。そしてやはり結構しつこく、ついてくる。
移動の疲れでかなり気が立っていたので、日本語でうるさいと言って手を振ると去っていったが、他のインド人がまたやってきてキリがないので、スマホを見ながら妻と会話をしながら無視を決め込んだ。
ここで問題発生。
アプリからUberを頼もうとしたらクレジットカードが使えない!一応こんな事もあろうかと別のクレジットカードも登録しておいたが、それも使えない。
妻のスマホで試したが、妻の登録しているカードは今使うことができなかった僕の家族カードなので当然使えない。。。
現金はあまり持ってきていないので、現金は使いたくなかった。
乗り場にUberのカウンターがあったので、
「I want to ride Uber but I can’t pay credit card.(Uber乗りたいけど、支払いにクレジットカードが使えないよー)」
と支払い方法にクレジットカードが使えないことを簡単に説明。
目の前で操作してという感じだったので、2つのクレジットカードでの支払いが出来ないことを確認してもらうと「Do you have other card?(他のクレジットカードはないのか?)」的なことを言われ、もう一枚あったことを思い出し登録しようとすると今度はunableだかdisableだかカードが無効的なメッセージが表示され登録すらできない。全滅。
どのドライバーとマッチングしようとしても同じだったので、こちら側の問題だろう。
おそらく事前に海外でクレジットカードを使いますよー、ということをカード会社に連絡していなかったから急に海外で使用してセキュリティに引っかかったのかもしれない。でもマレーシアのフードコートでは使えたのでインドのUberがカード会社から信用されていないとか?
これでUberは現金のみで乗らなければいけないことが確定したので、仕方なく両替所へ。
たんなる勘だが空港内の出入り口に近いほど両替レートが高そうな気がしたので、あえて入り口側から少し離れた両替所に向かった。
小ぢんまりとした据え置きのカウンターと、その後ろに4人のスタッフが座っていた。ここに4人もいる?といったくらいのスペースだ。。
紫色の綺麗な制服を着ているが、皆ゆったりくつろぐ感じで座っており、一人の若い女性にいたっては半分あぐら座り。これがインドのゆるさかと少し和んだが、お金のやりとりをするのでちょっと心配になった。
eビザとパスポートを求められてコピー、両替する通貨を聞かれて「Yen to Rupee(円からルピーへ)」と回答して1万円札を渡した。
デリーに比べるとハイデラバードに来る外国人は圧倒的に少なく、ましてや日本人はスーパーレアな外人だろう。
珍しいからなのか本物か確認するためなのか、渡した1万円札をスタッフ4人で裏返しにしたり逆さにしたりしてまじまじと入念に見るが、その様子が新鮮でちょっとおもしろい。
口頭で最初に言われた約4,400ルピーを受け取り、日本でよく聞く両替のちょろまかしや破れたお札を渡されるなどはなかった。破れたお札はインドでは使えない。
レートは正直、良かったか悪かったのかは分からないが、とりあえずインドの現金をゲットして再びUber乗り場へ。
戻ってくるとさっきまでガラガラだった乗り場のタクシーが大渋滞。
最初はあまりそんなことは気に留めてなかったが、Uberアプリを開くとホテルまでの運賃が倍くらいになっている!なぜこんな短時間に!?
アプリに「利用者が増えているため運賃が上がっています」というようなメッセージが表示されているが、乗り場を見渡しても客はそんなに増えていない。体感的に客:1に対してUber:100くらいか。
日本人が来たぞ!という通知がUberタクシーに行き渡り、高額になったタクシーが集まってきたのではないかと都市伝説的な妄想をしたが、早くホテルに行って休みたかったのでUberを呼んだ。
だが、すんなり乗ることができない。なぜならどの車に乗ればいいか分からないからだ。
通常、こういったアプリには自分とUberの現在位置と乗る車の情報が表示されているが、表示されているのは自分の現在位置と迎えにくる場所のみ。
当然目の前にある大量のUber車のうち、どの車が自分が頼んだUberか分からない!
悩んでいる間にまたタクシーの声かけがやってきた。
一人目はあしらったが、もしかして頼んだUberの運転手では?と2人目の男に少し対応してしまった。でも目の前にいる相手がUberのドライバーか知る術がない。
もう疲れで頭が回らなくなってきていた時、危うくこちらの行き先を伝えそうになったが、妻に止めてもらった。今のはちょっと危なかったと思った。
そんなこんなしているとさっきのUberカウンターのスタッフが声をかけてきて、”これに乗りな”と教えてもらい、あっさり車に乗れた。アプリの暗証番号を告げると相手のスマホにも行き先と運賃が表示され問題なかった。
なぜこの車が自分たちの頼んだ車だとスタッフが分かったのかは分からなかったが、もしかしたら空港などの乗車位置が指定されているUberならどの車に乗ってもよかったのかもしれない。でもUber以外の車も紛れているかもしれないから乗る前には確認した方がよさそうだ。
そして、いよいよインドの外の世界に出発した。
