【準1級・SCBT】視線の先にあるもの
今日は初の英検準1級の試験。
正直全く勉強が間に合わなかったので、結構気楽な気持ちだ。
S-CBTによるコンピューターベースのテストも2回目なので、要領はわかっている。
会場に着くと何人か並んでいたが、今回の試験会場は雑居ビルの一角でここでの受験者はそれほど多くなさそうだ。
前回と少し違うのは、ロッカーが用意されていることだ。
カバンや上着、時計など持ち込み可能不可の物は全てロッカーに入れるようにとのこと。
ただロッカースペースが超狭い。
2人くらいしか同時には入れない。
早くしないと次の受付を済ませた人がどんどん来るので慌てて狭い中、持ち物をロッカーにしまった。
持ったものはシャーペン、消しゴム、受験票とロッカーの鍵だけ。
会場は準2級と準1級で2つに別れている。とは言ってもそれぞれすぐ真隣の部屋だ。
試験室の番号は受付でもらった受験控えに書かれているので、その部屋に向かい、女性スタッフの方にポケットに不要なものが入っていないか口頭で確認された。
試験室に入ると隣り合っていない2列のデスクが並んでいた。
20席くらいだろうか。縦に長い狭い部屋の会場だ。今回は真隣に誰かが座る事は無いので、試験に集中できてラッキーだと思った。とは言っても前回のテストでは隣の席には誰も座らなかったのでその時もラッキーだったが。
軽く見渡すと大学生よりも高校生の方が多い印象だ。さすがに準1級であれば、大学生や大人がほとんどだと思っていたがそんなことはなさそうだ。
そして一番驚いたのは小学3、4年生くらいの女の子がいたことだ。
ここは準1級会場だぞ。そんなことがあるのか・・・?
大学中程度レベルの試験、こんな幼い子が挑むなんて。
驚きは隠せなかったがオンライン留学のフィリピン講師の人たちも、子供の生徒を抱えていると言っていたことを思い出した。
きっとこの子ももっと小さい頃から英語学習をしていたのだろう。学習期間のキャリアでいただけで言ったらきっと先輩だ。
そんな子供たちが毎日の勉強でストレスを抱えているのも知っている。
毎日、フィリピン講師に挨拶で僕が、
“I’m doing great!!” (今日も絶好調!)
みたいな挨拶をしていたが、先生曰く子供達の何人かは、
“I’m so tired…” (とても疲れている…)
こんな言葉を言うそうだ。
今という時間を勉強に費やし、将来の自分に繋げる。
勉強をしなかった僕みたいに、後になって大変な思いをするよりは断然いいのだろうと思ったが、その子達はまだ子供だけに複雑。
とりあえず席に着くと、今回はちゃんとしたモニターが席に置いてあった。
前回はノートパソコンで、少し前かがみになりながらテストを受けていたので、首が途中で痛くなり、集中力が途切れたが今回はそんな事はなさそうだ。
キーボードも専用のキーボードだったので打ちやすそうだと思ったが、めっちゃ音の鳴るメカニカルキー。全員が同時にライティングに入るなら良いが、そんな事はあり得ないので、ガチャン!ガチャン!とキーを打つ音が気になる受験生もいるのでは?しかもライティングだけ筆記で受ける人もいる。何か逆に気を遣ってしまいそうなキーボードだ。
説明が始まり、ログインしたり、ライティングで筆記を受ける人は必要なことを記入したりしていた。
すると、僕の席の斜め右前方向に座っている先程の女の子が手を挙げている。
試験監督官は既に着席しており、彼女の3席くらいの後ろに座っている。
彼女は背中を向けてとてもきれいに手を挙げていたが、机を囲むセパレーターのせいで、その短い手はたぶん指先位しか見えていない。
そもそも監督管は何かに集中しているようで前を見てない。
監督官は僕のすぐ右斜め後ろにいたので、気づいてもらえるように手を振ったが気づかない。
ちょっと激しめに振ってみたが、それでも気づかない。
こんなに周りを見ていない監督官ならカンニングを誰かがしていても気づかないのでは?と思ったが、とりあえず「試験官さん」と声をかけ、女の子の方に行ってもらい対応してもらった。
ーー試験が始まり、スピーキングからスタートだ。
最初はウォームアップで”How are you?”の他に
“How long have you been studying English?” (どれくらい英語の勉強をしているの?)
“What are you studying English for?” (何のために英語の勉強をしているの?)
などが聞かれた。
ただ装着したヘッドフォンが完全に遮音してくれていないので、普通に周りの声が聞こえてくる。最初の質問は皆が一斉に同じように答えていたが、答えられるから答えたのか、聞こえてきたから答えられたのか正直疑問だ。
スピーキングの試験としてこれは成立するのか?と思ったが、それ以降は皆の回答のペースが違うので、周りの声を拾って答えを真似すると言う事は難しく、大した問題ではないことにすぐ気がついた。
次にリスニング、リーディングと順番に進めていたが、予期しないハプニングが会場全体に起きた。
ドン!ドン!!
隣の部屋から騒音が鳴り始めた。しかもかなり大きな音だ。
雑居ビルなので、隣にキックボクシングのジムでも入ってるんだろうか?
それとも内装工事でもしているのだろうか?
とにかく強いストレスを感じるくらいの音で、試験に集中するにはかなり困難な状況だ。
僕は騒音が聞こえてくる部屋の壁側から少し離れている席だったが、音の鳴る壁にぴったり席をくっつけている受験生にとっては相当堪えているはずだ。
とりあえず、音が聞こえてくる側の右耳を抑えながらリーティング問題を進めた。
これがリスニング中だったら、確実に試験を止めてもらっていた。
監督管が様子を見に行ったのか音はしばらくすると止み、全員時間を止めてもらうことなく試験は続行された。
最後のライティング問題中に何か気配を感じたーー。
頭を上げると、また女の子がビシっと綺麗に手を挙げている。
しかも今度は後ろを振り返り、しっかりこっちを見ている。
なぜこの子はこっちを見ている?
僕は監督官じゃないぞ。
大人だからそう見えるのか?
それともさっきフォローしたのが僕だと気づいているのか!?
今は試験中で、申し訳ないが君にかまっている暇はないんだ!
時間にしてほんの2秒程度であっただろう。
しかし彼女のまっすぐな視線を外すことはできず、走馬灯のように色々な考えが巡る。
しかしこれは避けられないと悟り、監督官は何をしている!?と振り返ったが、またも気づく様子は無い。下を向いて何かをしている。
試験中、タイマーがカウントダウンしていく中、監督官に手を振った。気づかない。
再度めっちゃ手を振った。気づかない。
キサマーーーーーーーー!!!!
と心の声を抑えつつ、声をかけて気づいてもらった。
落ちるとは分かっているとは言え、最善を尽くしたかったので貴重な時間を使ってしまったと思った。
そして直後にその子の声が聞こえてきた。
「終わりました」
僕は凍りついた。
なぜならこの準一級会場の誰よりも先に終えたからだ。
高校生や大学生、大人など自分よりも年上の人々よりも先に。
そして英作文中の僕の横を通り、帰っていく。
絶望しながらも、こんな子が将来を担っていくリーダーになるのかなと考えてしまった。
問題自体は時間内に終えることができてトラブルもあったが、もっと英語を頑張ろう!そう思わせてくれる1日だった。

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